読書覚え書き 2021-22年
（2022年）
33 兼好法師『新版 徒然草 現代語訳付き』（角川ソフィア文庫）
32 老川慶喜『日本鉄道史 昭和戦後・平成篇』（中公新書）
31 高森朝雄・ちばてつや『あしたのジョー』（全12巻）（講談社漫画文庫）
30 下河辺淳『戦後国土計画への証言』（日本経済評論社）
29 老川慶喜『日本鉄道史 大正・昭和戦前篇』（中公新書）
28 君塚直隆『エリザベス女王』（中公新書）
27 水木しげる『のんのんばあとオレ』（ちくま文庫）
26 別所愉庵『ねじれとゆがみ』（晶文社）
25 野口晴哉『整体入門』（ちくま文庫）
24 老川慶喜『日本鉄道史 幕末・明治篇』（中公新書）
23 イアン・フレミング『ダイヤモンドは永遠に』（創元推理文庫）
22 三浦しをん『舟を編む』（光文社文庫）
21 福沢諭吉『学問のすゝめ』（岩波文庫）
20 柳田国男『遠野物語・山の人生』（岩波文庫）
19 イアン・フレミング『００７／ムーンレイカー』（創元推理文庫）
18 須田努『幕末社会』（岩波新書）
17 アガサ・クリスティー『青列車の謎』（創元推理文庫）
16 清水唯一朗『原敬』（中公新書）
15 小島寛之『完全独習 統計学入門』（ダイヤモンド社）
14 大上丈彦『マンガでわかる統計学』（サイエンス・アイ新書）
13 虎尾達哉『古代日本の官僚』（中公新書）
12 太宰治『晩年』（新潮文庫）
（2021年）
11 酒井順子『鉄道無常 内田百閒と宮脇俊三を読む』（KADOKAWA）
10 谷崎潤一郎『陰翳礼賛・文章読本』（新潮文庫）
09 丸山真男『「文明論之概略」を読む（上・中・下）』（岩波新書）
／福沢諭吉『文明論之概略』（岩波文庫）
08 芥川龍之介『羅生門・鼻』（新潮文庫）
07 清宮四郎『憲法と国家の理論』（講談社学術文庫）
06 平朝彦『日本列島の誕生』（岩波新書）
05 伊藤公一朗『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』（光文社新書）
04 今和泉隆行『「地図感覚」から都市を読み解く―新しい地図の読み方』（晶文社）
03 志賀直哉『暗夜行路』〔前篇・後篇〕（岩波文庫）
02 宮本常一『忘れられた日本人』（岩波文庫）
01 吉村昭『羆（ひぐま）』（新潮文庫）
兼好法師 小川剛生訳注『新版 徒然草 現代語訳付き』（角川ソフィア文庫）
12月27日読了。合間合間にパラパラと読み進めた。本当に「つれづれ」に色々なことが書いてあるのだな。
(2023.1.5)
老川慶喜『日本鉄道史 昭和戦後・平成篇』（中公新書）
12月23日読了。老川慶喜氏の『日本鉄道史』全３冊の最終巻。戦後の再建・復興から、高度経済成長を支え、新幹線を誕生させる栄光と、国鉄の経営の行き詰まり、そして、JR体制の現在に至るまでが手堅くまとめられている。国鉄の話だけではなく、もちろん私鉄のことも描かれている。日本国有鉄道の発足（1949年）から分割民営化（1987年）までが38年、そして、分割民営化から2022年現在までがもはや35年。鉄道の将来を見据える上で、歴史を振り返るのがますます重要になっているように思われる。
なお、本書も残念ながら誤植が少し気になった。
p.84 「一般旅客と定期旅客の比は六五対三五であったが、定期運賃の割引率が高いため、収入では一九対八一となっていた。」→「一九対八一」は「八一対一九」の誤りだろう。
p.102 「常磐線では、北千住～取手間を複線化して」→「複線化」は「複々線化」の誤り
p.156 「一九七五年三月一〇日には山陽新幹線を北九州の博多まで延伸した。」→「北九州の」というのがよく分からない。「北九州市の」ではなく「北部九州の」という意味と取れば間違いではないが、単に紛らわしいだけで不要だろう。
p.171 「新住宅都市開発法」は「新住宅市街地開発法」の誤り
(2023.1.5)
高森朝雄・ちばてつや『あしたのジョー』（全12巻）（講談社漫画文庫）
12月10日読了。地元の図書館で見つけて、全12巻なら読破できるだろうということで手を出した。さすが歴史に残る名作マンガであり、ここで論じるまでもないだろう。中2息子も小5娘も一緒に読んだので、我が家では一時期ジョーの話題で盛り上がったのであった。
(2023.1.5)
下河辺淳『戦後国土計画への証言』（日本経済評論社）
10月26日読了。職場の図書館で借りて読んだ。国土事務次官を務めた、戦後国土計画のドン、下河辺淳氏の語る戦後国土計画の歩みである。出版年が1994年なので四全総までの話であるが、時の内閣・首相の考え方も含め、まさに貴重な「証言」であり、この分野に関心を持つ者の必読の書だろう。
(2023.1.5)
老川慶喜『日本鉄道史 大正・昭和戦前篇』（中公新書）
10月25日読了。老川慶喜氏の『日本鉄道史』全３冊の真ん中である。戦前における日本資本主義とともに発展を続けた鉄道が、戦争により大きな被害を受けるまでの歩みである。私鉄や国際輸送の話など幅広いトピックに目配りされている。
なお、残念ながら誤植が目立つ。
p.84 誤「約二四七八万人」、「約一四三二万人」、「約一五二七万人」、「約一七一六万人」
→正「約二四七・八万人」、「約一四三・二万人」、「約一五二・七万人」、「約一七一・六万人」
p.90 グラフの単位、（人）ではなく（千人）だろう。
p.141 誤「関釜連絡線」→正「関釜連絡船」
p.204 誤「ＪＲ相模原線」→正「ＪＲ相模線」
(2023.1.5)
君塚直隆『エリザベス女王』（中公新書）
10月8日読了。2022年9月、在位70年にして96年の生涯の幕を閉じたエリザベス2世女王。本書はその生前中に書かれた評伝である。女王の歩みは第2次世界大戦の頃から今に至るまでのイギリス現代史そのものである。世界の中でのイギリスの地位が変わっていく中での外交活動を中心に、歴代の首相との関係など、大変興味深い。
(2023.1.5)
水木しげる『のんのんばあとオレ』（ちくま文庫）
9月26日読了。水木しげるの少年時代の自伝。「のんのんばあ」を通じて妖怪が身近にいる世界が展開する。茂少年の悪ガキぶりもすごい。大変面白い。
(2023.1.5)
別所愉庵『ねじれとゆがみー毎日すっきりセルフ整体教室』（晶文社）
9月18日読了。下の野口晴哉『整体入門』のところで書いた、妻から借りた本の一つ。パラパラと読み進めて、読了。第10章の「寝床体操」は実践中である。
(2022.9.18)
野口晴哉『整体入門』（ちくま文庫）
9月11日読了。首や肩が不調のため、その手の分野の先達である妻から、いろいろ整体やストレッチの本など借りて実践したりしている。その中のある本に「野口整体」の話が出てくるので、興味をもって買って、ざっと読んでみたのだが、ちょっと理解が難しいね。
(2022.9.15)
老川慶喜『日本鉄道史 幕末・明治篇』（中公新書）
9月6日読了。鉄道史の大家、老川慶喜氏の『日本鉄道史』は一度読まねばならぬと思っていて、やっと一冊目に着手できた。いずれ、全３冊読破したい。
(2022.9.15)
イアン・フレミング著 井上一夫訳『ダイヤモンドは永遠に』（創元推理文庫）
8月20日読了。これまた実家にあった古い文庫本。００７もの。『ムーンレイカー』より、こちらのほうが私の好みである。昔の乗り物が沢山出てくるのが良いですな。
(2022.9.15)
三浦しをん『舟を編む』（光文社文庫）
8月8日読了。国語辞典をつくる人々を描いた作品。映画化もされましたね。軽く読めて面白い。
(2022.9.15)
福沢諭吉『学問のすゝめ』（岩波文庫）
8月6日読了。『福翁自伝』も『文明論之概略』も読んだことがあるが、こちらは未読だった。福沢諭吉のテンポ良くノリノリの文章は実に面白いが、我が国の独立をどうしたら維持できるかという切迫した危機意識に貫かれている。
(2022.9.15)
柳田国男『遠野物語・山の人生』（岩波文庫）
7月15日読了。あまりにも有名な「遠野物語」だが、初めて読んだ。山という異界と隣り合わせに暮らす昔の人々の営み。
(2022.9.15)
イアン・フレミング著 井上一夫訳『００７／ムーンレイカー』（創元推理文庫）
5月30日読了。これも実家にあった古い文庫本。まあ、かなり荒唐無稽なストーリーだが、暇つぶしの一興として。
(2022.9.15)
須田努『幕末社会』（岩波新書）
5月20日読了。黒船来航あたりからの関東を中心とした幕末社会の動揺を描いた本。幕末には関東の治安が著しく悪化して、それに対する自衛・自警の動きが出て、武術も盛んになったのだとか。「新選組」誕生の時代的背景の理解も深まった。
(2022.9.15)
アガサ・クリスティー著 長沼弘毅訳『青列車の謎』（創元推理文庫）
4月28日読了。実家にあった古い文庫本。探偵ポワロもの。「青列車」とは、英仏海峡の港カレーから地中海を結ぶ豪華夜行列車（「トラン・ブルー／ブルー・トレイン」）のこと。面白かった。
(2022.9.15)
清水唯一朗『原敬』（中公新書）
4月19日読了。幕末から明治・大正を駆け抜けた大政治家、原敬の評伝。この時代の大人物というのは誰しもそういうものなのかもしれないが、一人の人間が、人生の中でこんなにも多くのことをできることかと驚嘆してしまう。
(2022.9.15)
小島寛之『完全独習 統計学入門』（ダイヤモンド社）
3月22日読了。『マンガでわかる統計学』に引き続き、統計学の勉強。これも分かりやすい良い本だと思ったが、本格的な理解は、数学・数式を使った、より上級の本に行かないと無理なのだろう。統計学、難しい。
※以降まとめて感想を書いたので、雑になっております…。
(2022.9.15)
大上丈彦著 メダカカレッジ監修『マンガでわかる統計学ー素朴な疑問からゆる～く解説』（サイエンス・アイ新書）
3月8日読了。統計学の入門書というのは、たいがい、入門させまいとしているのではないかと思わせるものだが、これは分かりやすく、面白く読めた。統計学入門書に挫折した人間がまず手に取るべき一冊だと思う。
(2022.3.8)
虎尾達哉『古代日本の官僚』（中公新書）
2月14日読了。「天皇に仕えた怠惰な面々」との副題のとおり、お手本にした中国の専制君主国家とは全く違う、だらけた官僚たちに寛容な古代日本の律令制国家の実態を描いている。古代日本史には疎いほうだが、前提となるような知識もコンパクトに解説されており、とても面白かった。
(2022.2.15)
太宰治『晩年』（新潮文庫）
1月31日読了。太宰治がなんとなく読みたくなって、未読の短編集である『晩年』を選んだ。太宰の短編集の中では面白いほうではないと思うが、それはそれなりに楽しめる。「逆行」という題が冠されている中の一編の「盗賊」では、東大での学生生活が描かれており、今の「銀杏・メトロ」である学生食堂も出てきて、親近感が湧いた。
(2022.2.15)
↑2022年
↓2021年
酒井順子『鉄道無常 内田百閒と宮脇俊三を読む』（KADOKAWA）
12月27日読了。本屋で思わず手に取ってしまった、「テツ女」酒井順子が内田百閒と宮脇俊三について語った本。これを選ぶような人にとってはおなじみのエピソードが多いとは思うのであるが、酒井の料理が上手なので読ませる。
(2022.2.15)
谷崎潤一郎『陰翳礼賛・文章読本』（新潮文庫）
12月9日読了。分量的には「文章読本」が半分以上を占めるのだが、そちらに興味があったわけでなく、「陰翳礼賛」とその他の随筆のほうが面白かった。なかでも、「厠のいろいろ」は楽しい。
(2022.2.15)
丸山真男『「文明論之概略」を読む（上・中・下）』（岩波新書）／福沢諭吉『文明論之概略』（岩波文庫）
11月23日読了。手持ちの読む本がないので本棚にある本を再読しようということで選んだのが、こちら。丸山真男と福沢諭吉の対話のようなもので、大変に読み応えがある。丸山真男の本で今読んでも面白いといったら、まずはこれなのではなかろうか。福沢諭吉の文章の調子が何とも言えない味わい。
(2021.11.23)
芥川龍之介『羅生門・鼻』（新潮文庫）
8月26日読了。古典的な小説を読みたくなって、選んだのが芥川。高校生の頃に読んだように思うが、芥川の文章はやはり良い。内田百間と芥川は親交があったが、長年望んできたことがいざ実現すると…という「鼻」や「芋粥」は、百間随筆の味わいと似たものがあると今回読んでみて思った。
(2021.11.23)
清宮四郎（樋口陽一編・解説）『憲法と国家の理論』（講談社学術文庫）
8月2日読了。宮沢俊義と並んで戦後の憲法学界をリードした清宮四郎の論文集。講談社学術文庫の憲法シリーズの一冊となる。樋口陽一先生の師ということで関心を持って読んだが、確固たる立憲主義の思想と国家論的な関心のあり方にやはり樋口先生と通じるものを感じた。
(2021.11.23)
平朝彦『日本列島の誕生』（岩波新書）
6月18日読了。前の本の読了以来だいぶ間が空いてしまったのは、未読でたまった『学士会会報』などを処分すべく読んでいたからで、この本を読むのに時間がかかっていたからではない。
さて、これはとても面白かった。1990年の刊行からは30年以上経つが、中身としてはなお古びていないという理解で良いのかな？ 以前、『日本列島100万年史』という講談社ブルーバックスを読んだことがあるが、この本はもっと大昔からの日本列島の誕生史をメインにしており、ブラタモリでもしばしば触れられる地質の話はここまでたどらないと腑に落ちないので、読んでとてもスッキリした気分である。どういった研究でどういうふうに分かってきたかという研究の歩みとともに語られるところも、単なる静的な知識でない、ダイナミックな知的営為を感じさせてとても良い。日本列島の誕生史だけでなく、ユーラシア大陸東部、中国のあたりの複雑な形成過程にも触れられており、インド亜大陸がなおユーラシア大陸を押し続けているといった話も興味深い。大地がこんなに動いていいの？という驚きの連続である。
(2021.6.24)
伊藤公一朗『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』（光文社新書）
4月28日読了。良書としての評判が高いので買ったが、しばらく積ん読になっていた。ようやく手に取って読んだが、なるほど、読みやすく、有用な知識の付く、すばらしい本である。もちろん、これを読んだからと言って、データ分析ができるようになるわけではないが、新聞記事等で見かけるデータ分析らしきものを読み解いていく力がぐっと増すのではなかろうか。ダレル・ハフ『統計でウソをつく法』（講談社ブルーバックス）という古典的名著があるが、それと同じく、「あやしげなデータ分析にだまされないための本」と私は受け取った。
(2021.4.29)
今和泉隆行『「地図感覚」から都市を読み解く―新しい地図の読み方』（晶文社）
4月17日読了。大変面白かった。地理や地図が好きな人からすれば、個々の内容としてはことさらに目新しいものではないかもしれないが、そういう人たちが地図をどう味読しているかということを体系的に示したところが実に画期的だと思う。図版が豊富で、眺めているだけでも楽しい。
(2021.4.29)
志賀直哉『暗夜行路』〔前篇・後篇〕（岩波文庫）
4月1日読了。面白いかと言われると、内容としてはちょっと首をひねってしまうが、文章が良いので読めてしまう。夏目漱石の小説の主人公たちからは20年くらい後の大正時代の「高等遊民」の話ということになるだろうか。それにしても、この時代の結婚観はやはり現代人にはちょっと理解しがたいところがある。ラストは、えっ、これで終わっちゃうのという感じ。
(2021.4.29)
宮本常一『忘れられた日本人』（岩波文庫）
1月の終わりか2月の初めに読了。民俗学の巨人が、農山漁村を歩いて採取した昔の日本人の暮らしぶりについて記録した本。放逸な性の話も含め、めちゃくちゃ面白い（「土佐源氏」とか、これが岩波文庫か？と思うほど赤裸々なエロ話である）。しかし、これを読むと、いま語られる昔の日本の暮らしぶりの話も、多くはもっぱら都市住民のことで、農山漁村のことはあまり語られていないのだなあと改めて思うのである。
(2021.3.7)
吉村昭『羆（ひぐま）』（新潮文庫）
1月5日読了。ある種の動物にのめり込む人間を描いた短編集。それぞれの動物に関わる記述は、初めて知ることも多くて面白いのだが、小説の展開は、陰鬱な男女関係など似たようなパターンの話ばかりで、途中で飽きた。吉村昭の描く男女関係はどうしてこう楽しくないのだろう。
(2021.3.7)