ロンドン歳時記
私がロンドンに住んだのが９月末からまる１年間だったので、この歳時記は秋から始めることとしました。
ロンドンの秋
日本では秋は、実りの秋、食欲の秋、読書の秋、芸術の秋、スポーツの秋と何かとイメージがいいけれど（なんで、花粉症の春、水泳の夏、ミカンの冬とかって言わないんだろう？）、ロンドンではどうか。正直言って、あまりいい季節ではないと思う。ただ暗く寒い冬に向かって坂道を転げ落ちていくという感じである。特に高緯度地方ゆえ日照時間がぐんぐん短くなっていくのがとても憂鬱だ。とは言え、そんな中でも特筆すべきことがないわけでもないのである。
ロンドンの冬
冬のロンドン、というといかにも寒そうに響く。しかし、平均気温で比べるならば、一番寒い１月でも3.8℃、東京の5.2℃よりは確かに低いけれど、冬寒いと言われる名古屋の3.7℃と同じくらい（理科年表平成13年版より）。北緯51度の都市とは思えない、さすがは西岸海洋性気候の穏やかさというべきだろう。しかしながら、やはりロンドンの冬はつらい。私のいた年は比較的暖冬で、天気も割と良かったようなのだが、それでもやはり大変憂鬱であった。ロンドンの冬はなぜ憂鬱なのか、また、そんな冬の楽しい風物は何であろうか。
ロンドンの春
ロンドンの春は、やはり北国の春、ということでとても待ち遠しい。しかし、春の訪れが遅いかというと、どうもそうでもないから不思議である。月別平均気温で見たら、例えば、3月には、東京8.5℃に対し、ロンドンは5.8℃とまだ寒い。ところが、日照時間が速いペースで長くなり花もいっせいに咲き始めるので、暗い冬からの解放という感じが3月には確実に感じられるのである。さて、春のところでは本当はイースターの話などをするべきなんだろうが、イースター休暇でドイツへ行ったりしていたし、一方では試験勉強もぽつぽつ始めていたので、どうもあまり書くネタがないのである。
ロンドンの夏
日本からの観光客で、イギリスやロンドンが良かったという人が多いのは、きっと夏に来たからに違いない！と言いたくなるくらい、やはり夏のロンドンは良い。だいたいいつもカラッとした晴天（にわか雨は結構降るけど）で、日本の蒸し暑さがうそのよう。それと、特に夏至の頃は、高緯度のうえサマータイムもあって、暗くなるのがとても遅く、１０時でやっと夕方という感じ。夕食を取る気になかなかなれないくらいだ。とにかく、この季節は、サンドイッチ持って、ハイド・パークでリスなんか眺めながら１日中ゴロゴロしているだけで幸せだろうと思うのだが、私は、夏も押し迫るにつれ論文書きに追われる羽目になって、やはりこの季節、あまり書くネタがないのだ。